お子様の矯正
予防矯正
いつから矯正を始める?
お子様の矯正を始めるのによいタイミングは2つあります。
- 1.子供の歯が大人の歯に生え変わり始めた頃に始める「予防矯正」
- 2.大人の歯に生え変わった中学生以降に行う「本格矯正」
すまいる歯科では年齢的に可能であれば予防矯正からの治療をお勧めしています。
〈予防矯正〉1期治療・2期治療
スタートの目安 :5歳~小学校低学年
将来、歯並びが悪くなることが予想された場合、早い段階で不正交合の原因を改善することで正常な発育を促し、歯並びが悪くなるのを最小限にとどめることができます。
また予防矯正を行うことで、次におこなう「仕上げの矯正」をスムーズにできるように準備をします。
予防矯正は小学校低学年からはじめる第1期と、小学校高学年、中学生になってから仕上げを行う第2期(本格矯正)にわかれます。
第1期ではお子様が本来持つ成長力を助ける事で歯が生えやすい環境に整えます。
第1期で使用する装置
お子様の状況に合わせた装置を選択します。
基本的に小学生以下のお子様にはマウスピース矯正は行いません。
拡大床装置
アゴの横幅全体を増やしたい時に使用します。最もよく使用する装置です。
ツーバイフォー
前歯と奥歯にだけワイヤーを通します。前歯の位置を修正するときに使用します。
ムーシールド
受け口の改善のために使用します。お子様自身の筋肉の力で改善を促すので効果は完全ではないですが、大きな効果を出す事も多いです。
マウスピース
普段通りに食事や歯のお手入れができ、見た目を気にすることなく治療を受けていただくことができます。
早い時期に予防矯正をしたお子様によっては、第1期で矯正が完了する子も多くいます。
第1期治療後、必要があれば第2期治療(本格矯正)に移行
第2期では第1期で改善しきれなかった歯並びの仕上げの矯正をおこないます。
歯が生えやすい環境に成長しても、歯並びがでこぼこしていたり、歯がズレて生えてきたり、上下の噛み合わせが良くなかったり、前歯の前突感が残っていたりすることがあります。
そういった場合には第2期治療(本格矯正)に移行します。
注意)低学年のお子様は、いきなり第2期治療(本格矯正)から始めることはできません。第1期治療でアゴの成長を正常にしてから第2期治療を行います。また第1期治療なしで12-13才以上で矯正を始める場合は本格矯正としてスタートします。
予防矯正の開始時期の目安
受け口
上の歯よりも下の歯が前に出てしまっている受け口の治療は4歳位から開始することをお勧めします。
ガタガタ
歯がガタガタになってしまった場合の治療は6歳くらいから始めるのがよいでしょう。
出っ歯
上の歯が前に出てしまう出っ歯は7歳くらいから治療します。
咬み合せが深い
上の歯が下の歯に深く噛んでしまう状態の場合には、7歳くらいからの治療が望ましいです。
前歯が咬まない
お子さまが前歯が咬まないような状態のときも、7歳からの治療開始が目安となります。
特に早い時期にはじめたほうが良い矯正治療
〈反対咬合〉〈交差咬合〉〈不良な習慣(指しゃぶり、口ポカン、舌の悪い癖)〉の改善は、4歳くらいから矯正を始めることもあります。
予防矯正のメリット・デメリット
メリット
歯を抜かずに矯正ができる可能性が高い
成長を助けてあげる事でできたスペースを使って歯を並べられるので、成人矯正のように永久歯を抜かずに治療できる可能性が高くなります。
痛みが少ない
骨が柔軟な時期に行うため、成人矯正と違って痛みが出にくいです。
副作用が起こりくい
成長期の矯正では身体が新しい歯並びに順応しやすいため、成人矯正でおこる歯肉が痩せる、顎関節症といった副作用が起こりにくくなります。
むし歯、歯周病の進行、アゴが歪んで成長してしまうのを防げる
不正な発育を放置してしまうと、歯周病になりやすかったり、アゴがずれたまま骨が固まってしまいます。早期に治療をすることで防ぐ事ができます。
料金が低価格
本格矯正と比べて、低価格で矯正が可能です。
デメリット
骨格の成長の予測が困難なケースもあり、矯正の期間の予測が困難。
お子さんの成長を見ながら行う矯正なので、お子さんの成長ぐあいにより矯正期間が長くかかる事があります。
お子さま本人、親御さんの協力が不可欠
取り外しの装置を用いるため、お子様本人が協力してくれないと効果がでません。そこで親御さんの協力が必要となります。
丁寧な歯みがきをしないと、虫歯を誘発する可能性がある
プラークコントロールが悪い場合、虫歯を誘発することもあります。注意深く歯みがきを丁寧に行う必要があります。
早期の矯正治療の限界
予防矯正により、将来の抜歯を回避できる、身体に負担をかけないという大きなメリットがあります。
しかし、遺伝的な要因で骨格が過剰に成長することによる受け口や出っ歯のケースでは、成長を抑制する事はかなり困難です。また予防矯正をする事で必ず歯を抜かずに済むというものではありません。
そのため、第2期治療で審美的に必要がある場合は歯を抜いての矯正へ移行したり、過剰な受け口では骨を切っておこなう外科矯正を専門医に依頼するケースもあります。
成長発育は様々な因子に左右されるため、正確に予測することは難しくそのうえで抑制したり、促進させたりが自由自在にできるものではないと厳しい指摘もあります。すでに外国では第1期の矯正を禁止している国もあります。
ただ、国内では第1期での矯正が効果的であるという考え方が主流であり、私自身の経験からでも、何も処置をしないより、早期の治療によってはるかに歯列と咬みあわせを整える事ができています。
そのため、第1期からの矯正治療をお勧めしています。
ただ、矯正治療前、矯正治療中などに将来的に抜歯、外科矯正などの可能性がでてきた場合には、ご説明をしたうえで、場合によっては矯正治療の開始を大幅に遅らすことや、治療方針の修正を行います。
早期の矯正治療にはその可能性があることも予めご理解ください。
歯並びが悪くなるクセとは
歯並びが悪くなる原因には、大きく分けると「遺伝的要因」と「環境的要因」の2つがあります。
注意が必要なお子さまの癖
歯並びの悪さは遺伝の要因も大きいと言われていますが、骨格が柔らかい子供の時期は悪い癖が嚙み合わせの乱れにつながることもあります。
下の図にあるような、よく見られる癖が歯並びを悪くしてしまうことがあるので、注意が必要です。
★上のリストでお子さんが1つでもあてはまる場合は注意が必要です。このまま続けると歯並びが悪くなる可能性があります。
子どもの本格矯正
スタートの目安:小学校高学年以降
成人の矯正と同じく、ワイヤー矯正、もしくはマウスピースにて矯正をおこないます。
メリット
- ある程度、成長が落ち着いた時期なので、予測が立てやすい
- 矯正治療に対する理解があるため、確実な矯正が可能となる
デメリット
- 歯を並べる隙間がない場合は、歯を抜く可能性がある
- 予防矯正と比べると多少治療費が高い傾向がある
口腔筋機能療法(MFT)
口の周りの筋肉の発達異常に対しては筋機能療法(以下MFTという)を行います。
MFTとは口周りの異常な筋肉発達を改善し、正常な発育を促すトレーニングです。
口呼吸、舌の悪い癖などにより、口周りの筋肉の発達の仕方のバランスが崩れることがあります。それにより出っ歯、受け口、開咬といった不正咬合を引き起こす事があります。
こうした筋肉のバランスの崩れが矯正治療を阻害する原因にもなります。そこで、MFTと呼ばれるご自宅でできる定期的なトレーニングをしていただき、口周りの筋肉の改善を促します。